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野球肩(肩の奥の軟骨のけが:SLAP損傷)

投げると肩の奥が痛い・引っかかるなら、野球肩(肩の奥の軟骨のけが:SLAP損傷)かもしれません

肩の受け皿のふちには、関節唇(かんせつしん)というやわらかい軟骨のへりがあります。投げる動きをくり返すうちに、この関節唇の上のほうが、そこについている上腕二頭筋の腱(力こぶの筋肉のすじ)ごとはがれた状態を、「SLAP(スラップ)損傷」といいます。野球肩のひとつで、野球の投手など、腕を大きく振って投げる選手に多いけがです。

痛みをがまんして投げ続けると、はがれが広がり、球速が落ちる・思うように投げられない肩になることがあります。

だから、がまんして投げず、早めに確かめることが大切です。当院は、運動療法を大切にしています。

豊田市の永田接骨院では、まず手の検査とエコーで肩を確かめ、投げる量の調整と運動療法で、長く投げ続けられる肩への回復を助けます。

こんな症状はありませんか?

  • 腕を後ろに引いたとき、肩の奥が痛い
  • 肩の中で引っかかる・コリッと鳴る
  • 球速が落ちた・コントロールが悪くなった
  • 投げたとき、腕が抜けるような感じがする
  • 投げ終わったあと、肩の奥がだるい・痛む

SLAP損傷は、投げるたびに肩の関節のふちが引っぱられて起こります

肩は、腕の骨の丸い頭が、肩甲骨の浅い受け皿に入っている関節です。受け皿のふちを関節唇がぐるりと囲み、腕の骨が受け皿から外れにくくしています。関節唇の上のほうには、上腕二頭筋の腱がついています。

投げるとき、腕を大きく後ろに引いてから振り出すと、上腕二頭筋の腱が関節唇を強く引っぱり、関節唇がねじられます。これをくり返すうちに、関節唇の上のほうが少しずつはがれていきます。肩の後ろがかたい選手では、肩の奥への負担がさらに大きくなります。

次のようなサインがあるときは、関節のふちのけがかもしれません。

  1. 腕を後ろに引いたとき、肩の奥が痛い:投げる動きで腕をいちばん後ろに引いた所で、肩の奥が痛みます。
  2. 肩の中で引っかかる・コリッと鳴る:はがれた関節唇が、肩の中で引っかかることがあります。
  3. 球速が落ちた・コントロールが悪い:痛みをかばって、思うように腕が振れなくなります。
  4. 投げたとき、腕が抜けるような感じ:肩がぐらつくように感じることがあります。

ひとつでも当てはまるときは、がまんして投げず、まず当院へご連絡ください。肩が外れた・外れそうになったことがあるときは、肩関節脱臼のページもご覧ください。

放っておくと、はがれが広がり、投げられない肩になることがあります

痛みをがまんして投げ続けると、関節唇のはがれが少しずつ広がっていきます。はがれが広がると肩がぐらつき、かばって投げるうちにフォームがくずれ、球速やコントロールが落ちていきます。肘など、ほかの所を傷めることもあります。

はがれが大きいと、手術が必要になることもあります。手術を受けても、元どおりに投げられるとは限りません。

  1. 正常:関節唇が、受け皿のふちにしっかりついています。
  2. はがれる:上のふちが上腕二頭筋の腱ごとはがれ、投げると肩の奥が痛みます。
  3. 広がる:はがれが広がり、肩がぐらつき、思うように投げられなくなります。

だから、はがれが広がる前に見きわめ、投げる量を調整することが大切です。肩と肘の投球障害全体についてはスポーツ選手に対する投球障害のページもご覧ください。

研究でわかっていること

SLAP損傷は、とくにプロ野球の投手について多くの研究があります。ここでは、その一部をご紹介します(数字は研究の報告で、当院の成績ではありません)。

投げる選手に多く、手術を受けても元どおりとは限りません
アメリカのプロ野球球団の研究では、肩の痛みで試合に出られなかった119人のうち68人(約6割)に、MRIでSLAP損傷が見つかりました。同じ研究で、手術を受けた投手27人のうち、試合にもどれたのは約2人に1人(48%)で、けが前の成績までもどれた人はさらに少なくなっていました。

プロの選手の数字ですが、投げる肩にとって負担の大きいけがであることがわかります。

出典:Fedoriw WW, et al. Am J Sports Med 2014(アメリカのプロ野球球団1つ、肩の痛みで試合に出られなかった119人)

手術をしない治療で、スポーツに復帰した人も多くいます
アメリカでSLAP損傷と診断された39人を調べた研究では、約2人に1人(19人)が手術をせずに治療を続け、痛みと肩の働きが良くなり、19人全員がスポーツに復帰していました。残りの20人は手術を選んでいます。この研究の手術をしない治療は、肩甲骨の動きを整える運動と、肩の後ろを伸ばす運動が中心でした。

当院でも、投げる量を3段階で調整しながら、肩甲骨と肩の後ろを整える運動療法を進めます。

出典:Edwards SL, et al. Am J Sports Med 2010(アメリカ、SLAP損傷と診断され、調査に答えた39人)

肩の動きが足りないと、肩や肘のけがが多くなります

プロの投手を調べた3つの研究をまとめた報告では、シーズン前の検査で、投げる腕を外にひねる動きが足りなかった投手は、シーズン中の肩・肘のけがが約2倍でした。SLAP損傷だけの数字ではありませんが、肩の動きを整えることの大切さを示しています。

肩だけで投げると、肩の奥に負担が集まります。股関節・体幹(お腹と背中)・肩甲骨を使って、体全体で投げることが大切です。

だから当院では、がまんして投げずに早めに確かめること、投げる量の調整を大切にし、運動療法で、くり返さない投げ方と体づくりまでお手伝いします。

出典:Pozzi F, et al. Br J Sports Med 2020(シーズン前の肩の動きの検査とけがを調べた15研究のまとめ。プロの投手は3研究)

当院の3つの施術

確かめる・負担を減らす・動かすの3つを組み合わせて、回復をサポートします。

まず、手の検査とエコーで確かめます

当院では、どの動きで肩の奥が痛むか、肩の動く範囲や肩の後ろのかたさを反対の肩と比べ、手の検査(徒手検査)で確かめます。そのうえで、肩の前にある上腕二頭筋の腱のまわりに水がたまっていないか、肩をおおう腱に傷みがないかをエコーで確かめます。エコーは痛みのない検査で、画面を一緒に見ながらご説明します。

エコーのイメージ図(肩の前で、上腕二頭筋の腱を輪切りに見た図。上が皮ふ側)

投げる量を調整し、肩の奥を守ります

投げると痛い・引っかかるうちは投げるのを休み、痛みがなくなったら近い距離から、肩の動きを確かめて少しずつと、投げる量を段階的にもどします。投げるのを休む間も、下半身や体幹の運動はできます。

関節唇は肩の奥にあり、エコーでは見えにくい所です。手の検査とエコーで、はがれが大きいことが考えられるときは、当院から病院へ、MRIなどの精密検査をご紹介します。ご紹介した場合は、病院の方針に合わせて進め、当院で運動療法を続けます。けがの保存療法の考え方はスポーツ外傷の保存療法のページもご覧ください。

まず当院で確かめ、必要なときは精密検査をご紹介します

運動療法で、くり返さない投げ方と体をつくります

当院がとくに大切にしているのが、運動療法です。肩の後ろのかたさをとり、肩甲骨・体幹・股関節の動きと筋力を整え、肩だけに頼らず、体全体で投げられる体をつくります。投げ方(フォーム)も一緒に見直します。

投げる練習への復帰は、投げ方・肩や股関節の動き・投げる量をもどせるかと、肩の腫れや痛み・エコーでの腱のまわり・肩の動く範囲をあわせて判断します。投げる数や休む日は、指導者の方とも相談して決めていきます。

肩甲骨を寄せる・肩を外にひねる

当院の運動療法(時期別)

どんなに良い運動療法も、時期とやり方を間違えると、肩の奥にまた負担がかかります。当院では、痛みの具合と、投げられる量に合わせて段階を進めます。

  1. 投げるのを休む間も:体幹・股関節を内にひねる ひじをついて体をまっすぐ保つ運動と、いすに座って股関節をやわらかくする運動から始めます。
  2. 痛みが落ち着いたら:肩の後ろを伸ばす・肩甲骨を寄せる 腕を胸の前へ引いて肩の後ろを伸ばし、ゴムを使って肩甲骨の筋肉をきたえます。
  3. 投げ始めたら:投げ方の見直し 近い距離から投げ、フォームと投げる量を一緒に確かめます。

運動の種類と始める時期は、肩の状態を見てお伝えします。

運動は一例です。状態に合わせて、当院でお伝えします。

投げるのを休む間も体幹と股関節の運動、痛みが落ち着いたら肩の後ろを伸ばす運動と肩甲骨を寄せる運動へ進めます。

当院がおすすめする通院のペース

通院のペースは、症状によって変わります。

  1. はじめの時期はなるべく毎日:肩の状態を確かめ、投げない間の運動を始めます。
  2. 落ち着いたら週3回:肩の後ろ・肩甲骨・体幹・股関節の運動療法を進めます。
  3. 投げ始めたら週2回:投げ方と投げる量を確かめながら、運動療法を続けます。
  4. リハビリ完了時に最終確認:動きと肩の状態を、エコーもあわせて確かめます。

回数を減らすタイミングは、症状を見て、こちらからお伝えします。

困ったときは、いつでもご相談ください

こんなときは、まず当院へご連絡を

  • 投げると肩の奥が痛む・引っかかる
  • 球速が落ちた・コントロールが悪くなった
  • 投げたとき、腕が抜けるような感じがする
  • 投げていないときも、肩の奥が痛む

がまんして投げ続けず、まず当院へご連絡ください。

おうちで守ってほしいこと

  • 痛いときは、投げるのを休む
  • 痛み止めを飲んで投げ続けない
  • 投げる数と休む日を、指導者の方と相談して決める
  • 肩だけで投げず、体全体で投げることを心がける

野球肩(SLAP損傷)に関するよくあるご質問

ここでは、「野球肩(肩の奥の軟骨のけが:SLAP損傷)」に関するよくあるご質問をご紹介します。

投げると肩の奥が痛みます。投げ続けても大丈夫ですか?

がまんして投げ続けず、まず状態を確かめましょう。

投げると肩の奥が痛む・引っかかるときは、肩の関節のふち(関節唇)が傷んでいることがあります。痛みをがまんして投げ続けると、はがれが広がり、思うように投げられない肩になることがあります。

当院では、手の検査とエコーで肩を確かめ、投げる量の調整と運動療法で回復を助けます。はがれが大きいことが考えられるときは、精密検査(MRIなど)のできる病院を当院からご紹介します。まず当院へご連絡ください。

手術が必要になりますか?

まずは、投げる量の調整と運動療法で回復をめざします。

多くの場合、まずは投げるのを休み、投げる量を段階的にもどしながら、肩甲骨と肩の後ろを整える運動療法で回復をめざします。研究でも、SLAP損傷と診断された人の約2人に1人が、手術をせずにスポーツに復帰したと報告されています。

運動療法を続けても痛みが続くときや、はがれが大きいことが考えられるときは、当院から病院へ精密検査をご紹介します。ご紹介した場合は、手術をするかどうかもふくめ、病院の方針に合わせて進めます。

腱板損傷や、上腕二頭筋の腱のけがとは、ちがうのですか?

傷む場所と、痛む動きがちがいます。

SLAP損傷は、肩の奥にある関節のふち(関節唇)が傷むけがで、腕を後ろに引いたときや投げる瞬間に、肩の奥が痛むのが特徴です。腱板損傷は、肩をおおう筋肉のすじ(腱板)が傷むけがで、腕を上げると痛むことが多くあります。上腕二頭筋の腱のけがは、肩の前が痛みます。SLAP損傷では、上腕二頭筋の腱のけがが一緒に起きていることもあります。投げ終わりに肩の後ろが痛むときは、肩の後ろにできる骨のとげのこともあります(野球肩(肩の後ろにできる骨のとげ))。

傷む所によって、投げるのを休む期間や運動療法の進め方が変わるため、痛む動きを確かめ、エコーで見分けます。くわしくは腱板損傷・上腕二頭筋長頭腱損傷のページを、投げると肘が痛むときは野球肘のページを、ほかの肩の痛みについては肩の痛み・けがのページをご覧ください。

小・中学生で、投げると肩の外側(腕の付け根)が痛むときは、リトルリーガーズショルダー(子どもの投げすぎによる肩の痛み)のページもご覧ください。

それでもお困りなら

永田接骨院 院長の永田です。
あなたのお悩みの解決をサポートします。

当院では、手の検査とエコーで、肩の動きと、肩の前の腱や肩をおおう腱に変化がないかをしっかり確かめています。

痛みをがまんして投げ続けないよう、投げる量を段階的に調整して肩の奥を守ります。はがれが大きいことが考えられるときは、精密検査のできる病院を当院からご紹介しています。

また、当院は運動療法を大切にしています。投げるのを休む間にする体幹や股関節の運動から、肩の後ろ・肩甲骨の運動、投げ方の見直し、投球の復帰まで、段階的に行っています。

投げると肩の奥が痛む・引っかかるときは、まず当院へご連絡ください。受付時間内はお電話、休日・祝日・時間外はLINEで、来院できる日時をご相談します。

この記事の監修:永田接骨院 院長 永田 和平(ながた わへい)
柔道整復師(13年目)。米田病院・よねだクリニックでアキレス腱断裂などの保存療法を学び、2018年から永田接骨院へ。日本臨床スポーツ医学会・日本足の外科学会 会員。日本足の外科学会などで学会発表、日本足の外科学会誌に論文掲載。
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