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顎関節症(あごの痛み・口が開けにくい)

口を開けると痛い・あごが鳴るなら、顎関節症かもしれません

顎関節症は、あごの関節(耳の前にある関節)や、かむための筋肉に負担がかかり、口を開けると痛い・カクカク鳴る・口が大きく開かない、といった症状が出る状態です。あごの関節の骨と骨のあいだには「関節円板」というクッションがあり、これが前にずれると、口を開けるときに音が鳴ったり、引っかかって開きにくくなったりします。

くいしばり・ほおづえ・首が前に出る姿勢など、ふだんのくせが関係していることも多く、若い女性によく見られます。

歯やかみ合わせのことは、必要なときに歯科をご紹介します。

エコーで関節円板の様子を確かめ、かむ筋肉(咀嚼筋)のリリース・調整、くせや姿勢の見直しと首・肩まわりの運動療法で回復を助けます。

こんな症状はありませんか?

  • 口を開けると、あごや耳の前が痛む
  • 口を開け閉めすると、カクカク・ジャリジャリ音が鳴る
  • 口が大きく開かない、途中で引っかかる
  • かたい物をかむと、あごが疲れる・痛む
  • 朝起きると、あごがこわばっている(くいしばり・歯ぎしり)

なぜ起こるのでしょう

顎関節症は、1つの原因で起こるというより、あごへの負担がいくつも重なって起こると考えられています。昼間のくいしばりや夜の歯ぎしり、ほおづえ、首が前に出る姿勢、かたい物をよくかむ・大きく口を開けるくせなどが続くと、あごの筋肉がかたくなり、関節円板もずれやすくなります。

ドイツで約2万人を診察した研究では、痛みのある顎関節症は、睡眠の不調や不安・気分の落ちこみと関係があり、歯並びやかみ合わせの形とは関係が見られませんでした。

出典:Herpel C, et al. Dtsch Arztebl Int 2026;123:63-70(ドイツの一般の人20,603人)

  1. くいしばり・歯ぎしり:昼間の気づかないくいしばりや、夜の歯ぎしり
  2. ほおづえ:片方のあごに力がかかり続けます
  3. 首が前に出る姿勢:スマホやパソコンで首が前に出ると、下あごが引っぱられます
  4. かたい物・大きなあくび:かたい物をよくかむ、大きく口を開けるくせ

関節円板のずれ方で、症状が変わります

あごの関節の骨と骨のあいだには、関節円板というクッションがあります。円板が前にずれても、口を開けるときに元の位置へ戻る場合は「カクッ」と音が鳴ります。ずれたまま戻らなくなると、円板がじゃまをして口が開きにくくなります。

音だけで痛みがない場合も多く、すぐに心配はいりませんが、痛みや開きにくさが出てきたら、早めにご相談ください。

  1. 正常:関節円板が、頭の骨と下あごの骨のあいだにあります。
  2. ずれる(音が鳴る):円板が前にずれ、口を開けるときに元に戻るので「カクッ」と鳴ります。
  3. 戻らない(開きにくい):円板がずれたまま戻らず、口が開きにくくなります。

研究でわかっていること

顎関節症については、多くの研究が行われています。ここでは、その一部をご紹介します(数字は研究の報告で、当院の成績ではありません)。

めずらしくない・女性に多い
一般の人を調べた21の研究をまとめた報告では、大人の約3人に1人に、あごの関節の不調(痛みのない、音だけの円板のずれもふくむ)がありました。痛みのある顎関節症はもっと少なく、ドイツの約2万人を診察した研究では約27人に1人(20代では約17人に1人)でした。また、一般の大人2,518人をまとめた研究では、女性は男性の約2倍なりやすいと報告されています。

出典:Valesan LF, et al. Clin Oral Investig 2021;25:441-53(21研究のまとめ)/Herpel C, et al. Dtsch Arztebl Int 2026;123:63-70(ドイツ20,603人)/Bueno CH, et al. J Oral Rehabil 2018;45:720-9(一般の大人5研究2,518人)

長引くことも
アメリカで、あごの筋肉の痛みがあった165人を5年間調べた研究では、すっかり良くなった人が約3人に1人、良くなったり痛んだりをくり返した人が約3人に1人、痛みが続いた人が約3人に1人でした。痛む日が多い人や、体のほかの所も痛む人ほど長引きやすかったと報告されています(あごの筋肉の痛みの方の研究で、円板のずれの方の数字ではありません)。我慢せず、くせや姿勢を早めに見直すことが大切です。

出典:Rammelsberg P, et al. J Orofac Pain 2003;17:9-20(アメリカの患者さんと地域の人、165人・5年間)

運動療法が回復の中心です

長引くあごの痛みについての国際的な診療ガイドライン(2023年)では、専門家の指導のもとで行う姿勢の運動や、あごの運動・ストレッチが強くすすめられています。あごの筋肉の痛みの60人を比べた研究では、姿勢の練習を加えた組は4週間で症状が約4割へり、セルフケアだけの組(約1割)より大きく改善しました(人数の少ない研究です)。運動療法と手技の48の研究をまとめた報告でも、あごだけでなく首もふくめた施術と運動に効果が期待されています(研究の質はまだ十分ではありません)。

当院でも、あごに負担をかけるくせや姿勢を一緒に見直し、首・肩まわりの運動療法を中心に進めます。

出典:Busse JW, et al. BMJ 2023;383:e076227(診療ガイドライン)/Wright EF, et al. J Am Dent Assoc 2000;131:202-10(60人の比較)/Armijo-Olivo S, et al. Phys Ther 2016;96:9-25(48研究のまとめ)

当院の3つの施術

確かめる・ゆるめて負担を減らす・動かすの3つを組み合わせて、回復をサポートします。

エコーで、関節円板を確かめます

エコーのイメージ図(左が顔、右が耳の側)

耳の前にエコーを当て、口を開け閉めしながら、関節円板の位置や動き、関節の腫れを確かめます。画面を一緒に見ながらご説明します。研究では、エコーは口を開けると戻る円板のずれの約8割を見つけられたと報告されています(MRIとくらべた11研究のまとめ)。

エコーで分からないときや、歯・かみ合わせの問題が疑われるときは、歯科や精密検査(MRI)をご紹介します。

出典:Dong XY, et al. Int J Oral Maxillofac Surg 2015;44:852-8(11研究1,096人)

かむ筋肉をゆるめ、あごの負担を減らします

くちびるは閉じて、歯は離す

くいしばりなどでかたくなった、かむための筋肉(咀嚼筋:ほおやこめかみの筋肉)をやさしくゆるめ(リリース)、あごが動きやすいように調整します。

あごは食べる・話すたびに動くので、固定はしません。かわりに、ふだんの生活であごを休ませる工夫を一緒に考えます。くちびるは閉じて、上下の歯は離すのが、あごの楽な形です。くいしばりに気づいたら、歯を離して肩と口の力を抜きましょう。歯ぎしりから歯を守るマウスピースは、歯科でご相談ください。

運動療法で、くり返さない体へ

首をまっすぐ後ろへ引く・肩甲骨を寄せる

首が前に出る姿勢は、下あごを引っぱり、あごの筋肉に負担をかけます。首・肩甲骨・胸まわりの運動療法で姿勢を整え、あごを楽にしていきます。

終わりの時期は、口の開き・食べる・話す動きと、首・肩の動き、ふだんの姿勢、エコーでの円板の様子をあわせて判断します。

当院の運動療法(時期別)

痛みの具合に合わせて、運動療法の段階を進めます。痛みが強い時期は、あごを休ませながら首と姿勢から。落ち着いてきたら肩甲骨や胸を動かし、姿勢を保つ力をつけていきます。

  1. 痛みが強い時期:首をまっすぐ後ろへ引く あごを引いて、頭を肩の真上へ戻します。歯を離して力を抜く練習も。
  2. 痛みが落ち着いたら:肩甲骨を寄せる 胸を張り、肩甲骨を寄せます。
  3. 痛みが落ち着いたら:胸を開く 両腕を広げ、胸の前を伸ばします。
  4. 力がついてきたら:背中を丸める・反らす 四つばいで、背中をゆっくり動かします。

あごそのものの運動は、口の開きや痛みを見て、必要なときにお伝えします。進め方は、痛みを見てお伝えします。

痛みが強い時期は首をまっすぐ後ろへ引く運動、落ち着いたら肩甲骨を寄せる・胸を開く運動、力がついてきたら背中を丸める・反らす運動へ進めます。

当院がおすすめする通院のペース

通院のペースは、症状によって変わります。

  1. はじめの時期はなるべく毎日:あごと首の状態を確かめ、負担を減らす工夫と首の運動から始めます。
  2. 良くなってきたら週3回:運動療法の段階を進めていきます。
  3. さらに良くなったら週2回:肩甲骨や背中の運動を増やします。
  4. リハビリ完了時に最終確認:口の開き・姿勢・エコーをあわせて確かめます。

回数を減らすタイミングは、症状を見て、こちらからお伝えします。

困ったときは、いつでもご相談ください

歯科・医療機関で診てもらうこと

  • 歯の痛み・かみ合わせ・詰め物や入れ歯の不具合 → 歯科へ
  • 歯ぎしりから歯を守るマウスピース(スプリント)→ 歯科へ
  • 口が急にまったく開かない・閉じない(あごが外れた疑い)→ すぐに歯科(口腔外科)・医療機関へ
  • 顔やあごが腫れて熱がある、顔のしびれ、ぶつけたあとからかみ合わせがずれた → すぐに医療機関へ

あごの関節や筋肉の痛み、かむ筋肉(咀嚼筋)のリリース・調整、くせ・姿勢の見直し、首・肩まわりの運動療法は当院で。迷うときは、まずご相談ください。歯科の治療と並行して通っていただくこともできます。

おうちで守ってほしいこと

  • 痛いときは、かたい物・大きなあくび・ガムを控える
  • 気づいたら上下の歯を離して、肩と口の力を抜く
  • ほおづえ・うつぶせ寝をしない
  • スマホやパソコンのときは、首が前に出ないように

顎関節症に関するよくあるご質問

ここでは、あごの痛み・音・口の開きにくさ「顎関節症」に関するよくあるご質問をご紹介します。

歯科と接骨院、どちらに行けばいいですか?

歯・かみ合わせは歯科、かむ筋肉のリリースや姿勢の見直しは当院でお手伝いできます。

歯の痛みやかみ合わせの問題、歯ぎしり用のマウスピースは歯科の領域です。あごの関節や筋肉の痛み、かむ筋肉(咀嚼筋)のリリース・調整、くせや姿勢の見直し、首・肩まわりの運動療法は当院でお手伝いできます。

迷うときは、まずご相談ください。当院でエコーで確かめ、必要なときは歯科をご紹介します。歯科の治療と並行して通っていただくこともできます。

カクカク鳴るだけで、痛みはありません。大丈夫?

痛みや開きにくさがなければ、すぐに心配はいらないことが多いです。

口を開けるときに音が鳴るだけで、痛みや開きにくさがなければ、すぐに心配はいらないことが多いです。研究でも、痛みのない円板のずれは大人によく見られます。

ただ、痛みが出てきた・口が開きにくくなった・引っかかるようになったときは、早めにご相談ください。

耳の病気や歯の痛みとはちがうのですか?

口の開け閉めで痛みや音が変わるなら、顎関節症が考えられます。

あごの関節は耳のすぐ前にあるため、顎関節症の痛みを「耳の奥の痛み」や「歯の痛み」と感じることがあります。口の開け閉めで痛みや音が変わる場合は顎関節症が考えられますが、耳だれ・聞こえにくさがあるときは耳鼻科、歯がしみる・歯ぐきが腫れるときは歯科でご相談ください。

当院では、口の動きとエコーで、あごの関節かどうかを確かめます。首の痛みがあるときは寝違えやむち打ちのページもご覧ください。

それでもお困りなら

永田接骨院 院長の永田です。
あなたのお悩みの解決をサポートします。

あごの痛みや音は、「そのうち治まるだろう」と我慢されがちですが、くせや姿勢を早めに見直すことが大切です。当院では、エコーで関節円板の様子を確かめ、必要なときは歯科をご紹介しながら、首・肩まわりの運動療法で回復をサポートしています。

首が前に出る姿勢は、首や肩の痛みにもつながります。むち打ちなど首のけがのあとから、あごが痛むこともあります。

あごの痛みでお困りなら、お気軽にご相談ください。休みの日・時間外も、できるかぎり対応します。

この記事の監修:永田接骨院 院長 永田 和平(ながた わへい)
柔道整復師(13年目)。米田病院・よねだクリニックでアキレス腱断裂などの保存療法を学び、2018年から永田接骨院へ。日本臨床スポーツ医学会・日本足の外科学会 会員。日本足の外科学会などで学会発表、日本足の外科学会誌に論文掲載。
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