〒470-0331 愛知県豊田市平戸橋町永和131
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骨盤の前の出っぱりのけが(上前腸骨棘・下前腸骨棘の裂離骨折)

ダッシュやキックで足の付け根の前が痛むなら、骨盤の前の出っぱりのけがかもしれません

ダッシュやボールを蹴った瞬間に「ブチッ」として、足の付け根の前が痛くなった――。それは、骨盤の前にある出っぱり(上前腸骨棘・下前腸骨棘)が、筋肉に引っぱられてはがれる骨折(裂離骨折。剥離骨折ともいいます)かもしれません。

成長期の中高生、とくにサッカーや陸上の短距離をしている生徒さんに多いけがです。「肉離れかな」と思って練習を続けると、長引くことがあります。当院では、エコーで骨の様子を確かめ、休み方と運動療法で回復を助けます。

当院は、運動療法を大切にしています。

骨のつき具合に合わせて、練習への戻り方を一緒に考えます。

こんな症状はありませんか?

  • ダッシュやボールを蹴った瞬間に「ブチッ」とした
  • 足の付け根の前(骨盤の前の出っぱり)を押すと痛い
  • 脚を前に上げると痛い
  • 歩くと痛い・足を引きずる
  • 中学生・高校生で、サッカーや陸上(短距離)をしている

成長期は、骨の端が筋肉に負けやすい

成長期の骨の端には、まだ骨になりきっていないやわらかい所(成長軟骨)があります。ダッシュやキックのように一瞬で強く筋肉が縮むと、骨より先にこのやわらかい所が負けて、筋肉の付け根ごと骨の端がはがれてしまいます。

大人なら肉離れになるような力で、成長期は骨がはがれる――これが「裂離骨折」です。

図の見かた(左の骨盤と太ももを前から見たところです)。

  1. 正常:成長中の骨の端(水色)は、まだやわらかい所です。
  2. はがれた:筋肉に引っぱられて、骨の端(オレンジ)がはがれます。

走る・蹴る瞬間に足の付け根の前が痛んだときは、練習を続けず、早めにご相談ください。

上はダッシュ、下はボールを蹴る

骨盤の前には、上と下の2つの出っぱりがあります。上の出っぱり(上前腸骨棘)には縫工筋(ほうこうきん)が、下の出っぱり(下前腸骨棘)には太もも前の筋肉(大腿直筋)が付いています。

どちらがはがれても足の付け根の前が痛み、脚を前に上げると痛みが強くなります。当院では、どこを押すと痛むか・どの動きで痛むかを確かめ、エコーで出っぱりの様子を見て見分けます。

  1. 上の出っぱり(上前腸骨棘):ダッシュや走り出しのときに、縫工筋が強く引っぱってはがれます。
  2. 下の出っぱり(下前腸骨棘):ボールを蹴る瞬間に、太もも前の筋肉(大腿直筋)が強く引っぱってはがれます。

研究でわかっていること

骨盤のはがれる骨折については、海外で研究が行われています。ここでは、その一部をご紹介します(数字は研究の報告で、当院の成績ではありません)。

どこに・だれに起こる?
アメリカの小児病院で、骨盤のはがれる骨折228件(平均14.4歳)を調べた研究では、いちばん多いのが下の出っぱり(49%)、次が上の出っぱり(30%)で、この2か所で約8割をしめていました。原因は、ダッシュ・走る動きと、ボールを蹴る動きが多くありました。また、イタリアで10代の競技選手の203件を調べた研究では、いちばん多い競技はサッカー(74件)でした。

出典:Schuett DJ, et al. J Pediatr Orthop 2015;35:617-23(アメリカの1つの病院)/Rossi F, et al. Skeletal Radiol 2001;30:127-31(イタリアの10代の競技選手)

長引くこともあります
同じアメリカの研究では、けがから3か月たっても痛みが続いていた人が約7人に1人(14%)いました。とくに下の出っぱりのけがは、長引く痛みが約4.5倍出やすくなっていました。はがれた骨がずれたまま大きくかたまり、脚を上げるたびに股関節に当たって痛むことがあるためです。「歩けるから大丈夫」と練習を続けず、最初の対応を大切にしましょう。

出典:Schuett DJ, et al. J Pediatr Orthop 2015(骨盤のはがれる骨折228件)

多くは、手術をしない治療で回復を目指せます

アメリカの228件の研究では、ほぼ全員(97%)が手術をしない治療でうまくいき、手術になったのは3%でした。

また、14の研究・596人をまとめた研究では、手術をしない治療で約8割(80%)がけが前のスポーツに戻れていました。ただし手術をした人は92%で、手術のほうが高い結果でした(まとめた研究の質は低めです)。ずれが大きいときは、手術も考えます。

当院では、エコーで骨のずれを確かめ、ずれが大きいときは手術のできる医療機関をご紹介します。多くの場合は、しっかり休んで骨がつくのを待ち、運動療法で復帰を目指します。

出典:Schuett DJ, et al. J Pediatr Orthop 2015;35:617-23/Eberbach H, et al. BMC Musculoskelet Disord 2017;18:162(14研究のまとめ)

当院の3つの施術

確かめる・負担を減らす・動かすの3つを組み合わせて、回復をサポートします。

エコーで、骨の端を確かめます

エコーのイメージ図(左が骨盤側、右が太もも側)

上と下の出っぱりをエコーで見て、骨の線がつながっているか、骨のかけらが浮いていないか、まわりに血がたまっていないかを、痛くない側とも比べながら確かめます。画面を一緒に見ながらご説明します。

正常では、骨の線がつながって写ります。はがれたときは、骨のかけらが浮き、まわりの血が黒く写ることがあります。

ずれが大きいときや、詳しく調べる必要があるときは、精密検査のできる医療機関をご紹介します。

休んで、骨がつくのを待ちます

松葉杖・超音波骨折治療器・休み方

はがれた骨は、しっかり休むことでついていきます。骨のつき具合をエコーで見ながら、超音波骨折治療器で骨がつくのを助けます。

  1. 痛みが強いとき:松葉杖で、体重をかけすぎないようにします。
  2. 歩いて痛くないとき:走る・蹴るはお休みします。
  3. 骨がついてきたら:軽い練習から少しずつ戻します。

運動療法で、くり返さない体へ

太もも前・股関節をやわらかく、体幹とお尻で骨盤を支える

当院がとくに大切にしているのが、運動療法です。太もも前や股関節がかたいと、出っぱりが強く引っぱられます。休むだけでは、練習に戻ったときにまた痛めやすくなります。

骨のつき具合を見ながら、体幹とお尻の筋肉で骨盤を支える運動療法から始め、骨がついてから太もも前・股関節のストレッチを少しずつ加えます。復帰の前には、ダッシュ・蹴る・切り返しの動きと、骨盤の前の痛みやエコーでの骨の様子をあわせて確かめます。

当院の運動療法(時期別)

どんなに良い運動療法も、時期とやり方を間違えると、はがれた所をまた引っぱってしまいます。当院では、骨のつき具合と痛みに合わせて段階を進めます。

  1. 痛みが落ち着いたら:おしり上げ お尻の筋肉の運動療法です。
  2. 痛みが落ち着いたら:ひじをついて体をまっすぐ お腹(体幹)の運動療法です。
  3. 骨がついてきたら:お尻と股関節を伸ばす 痛みのない範囲でゆっくり伸ばします。
  4. 骨がついてきたら:太もも前を伸ばす 骨がついてから少しずつ始めます。

運動の種類と進め方は、骨のつき具合と痛みを見てお伝えします。

痛みが落ち着いたら、はがれた所を引っぱらないおしり上げと体幹の運動から始めます。ストレッチは骨がついてから、お尻・股関節、太もも前の順に少しずつ始めます。

当院がおすすめする通院のペース

通院のペースは、症状によって変わります。

  1. はじめの時期は毎日:エコーで確かめ、休み方の工夫と超音波骨折治療器を行います。
  2. 良くなってきたら週3回:運動療法の段階を進めていきます。
  3. さらに良くなったら週2回:走る・蹴る動きを見直します。
  4. 練習に戻る前に最終確認:動きと骨盤の前の様子をあわせて確かめます。

回数を減らすタイミングは、症状を見て、こちらからお伝えします。必要なときは、精密検査のできる医療機関をご紹介します。

困ったときは、いつでもご相談ください

こんなときは、すぐご連絡を

  • 歩けないほど痛む、足をつけない
  • 足の付け根の前が大きく腫れてきた
  • 痛みが日に日に強くなる
  • 熱がある、またはじっとしていても痛む

おうちで守ってほしいこと

  • 痛みをこらえて、走る・蹴るを続けない
  • 松葉杖の間は、体重をかけすぎない
  • 骨がつくまで、太もも前を強く伸ばさない
  • 痛みが引いても、急に練習を戻さない

骨盤の前の出っぱりのけがに関するよくあるご質問

ここでは、「骨盤の前の出っぱりのけが(上前腸骨棘・下前腸骨棘の裂離骨折)」に関するよくあるご質問をご紹介します。

どれくらい休めば、練習に戻れますか?

骨のつき具合や、ずれの大きさによって違います。

痛みが引いても、骨がまだついていないことがあります。エコーで骨の様子を見ながら、軽い練習から少しずつ戻していきます。

自己判断で戻らず、ご相談ください。

レントゲンで「骨折はない」と言われましたが、痛みが続きます。

成長期の骨の端は、レントゲンではっきり写らないことがあります。

痛みが続くときは、エコーで骨の端の様子を確かめます。

必要なときは、MRIなど精密検査のできる医療機関をご紹介します。

肉離れとはちがうの?

起こり方は似ていますが、成長期は骨の端がはがれることがあります。

ダッシュやキックで足の付け根の前が痛むのは、肉離れも同じです。ちがうのは、成長期では筋肉ではなく「骨の端」がはがれることがある点です。骨がはがれているときは、肉離れよりも長く休む必要があります。

当院では、触って痛む場所を確かめ、エコーで骨の端を見て見分けます。肉離れについては肉離れのページもご覧ください。

それでもお困りなら

永田接骨院 院長の永田です。
あなたのお悩みの解決をサポートします。

当院では、触診とエコーで、骨盤の前の出っぱりの様子をしっかり確かめています。

そのうえで、骨のつき具合に合わせて、休み方と練習への戻り方をご提案しています。

また、当院は運動療法を大切にしています。痛みが落ち着いた時期から練習に戻るまで、段階的に行っています。

足の付け根の前の痛みでお困りなら、お気軽にご相談ください。休みの日・時間外も、できるかぎり対応します。

この記事の監修:永田接骨院 院長 永田 和平(ながた わへい)
柔道整復師(13年目)。米田病院・よねだクリニックでアキレス腱断裂などの保存療法を学び、2018年から永田接骨院へ。日本臨床スポーツ医学会・日本足の外科学会 会員。日本足の外科学会などで学会発表、日本足の外科学会誌に論文掲載。
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